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田舎暮らしと不動産
○始めに
「田舎」のイメージは人それぞれ異なりますが、端的に言うと「農村地域」がそれにあたるかと思います。私自身30年前に宮城県仙台市から田舎に憧れて家族4人で美瑛町の農村地域に移住しその地で10年間暮らしました。その後田舎暮らしの不動産業を開業15年間日本全国各地から美瑛町への移住相談を始め、農村地域での土地、建物等の不動産の取得や売却のお手伝いをさせていただきました。これまでの経験をもとに、これから道内で田舎暮らしを始めたいあなたにほんの少しのアドバイスをさせていただきたいと思います。

具体的な取引実例(旭川市を中心とした上川地域の例)
取引の流れ 土地の探し方 業者の選択 土地の価格 4つの確認
取引の形態 セカンドハウス 街の暮らし 土地の広さ 購入費用
○取引の流れ
1.売買物件資料の確認
最初は土地や建物の場所、広さ、価格、電気、水道などのライフライン、交通など大まかな情報をインターネットや物件案内書などを取り寄せます。特に遠方のお客様は出来るだけ詳細な情報の入手したいと考えておりますので、不動産業者にメールや電話、FAXなどで問い合わせます。中には売主の事情により詳細を公開できない場合もありますが、稀なケースです。あまり詳細情報や水道、電気などのライフラインの説明にあいまいな説明をする業者は要注意です。所在は通常住居表示を現しますが、地番(一般的にはわからない法務局の台帳の地図)を表示してある資料なども要注意です。

2.現地案内
いよいよ実際に現地を案内してもらい自分で現地を目で確かめる大事な作業で一番わくわくする瞬間です。とりあえず業者の方の説明を一通り聞きます。電気、水道のことや冬の除雪、排水、道路状況、交通、買い物、学校・・・・
現地に足を運ぶことによっていろいろな事が分かってきます。とりわけ田舎不動産の場合は周囲の環境と道路状況が大事になってきます。一見道路に見えても町道なのか私道なのか、またはただ単に畑に道を作ってトラクターや農作業の為に必要になって農家の方が作った道なのか分かりにくいのが実態です。物件資料と照らし合わせながら道路の説明を業者に求める必要があります。それだけ敷地に接する道路が大事だと言うことです。現地を自分の目で確かめ、疑問に思っていることは業者に尋ねますが、業者がすべて把握しているとは限らず、地元の業者以外はわからないことも多々あります。不明な点は後日調べていただくようお願いします。中には現地を見た瞬間に気に入り、即購入の申込をされるお客様もおりますが、一旦家に戻り冷静になって検討した方が良いと思います。現地を見るのは一度だけでなく、出来れば数回足を足を運んで検討されるとをお奨めします。

3.購入の検討
物件がほぼ気に入り、家族の承諾も得られたらいよいよ契約の準備に入ります。購入金額の準備ですが一般的には農村部の田舎物件に限っては銀行、信用金庫などの金融機関からの融資はほぼ不可能と考えたほうが良いと思います。理由は銀行側にとって不動産の価値(評価額)が低く、担保になりにくいのが実情です。資金は全額自己資金や親などのからの資金援助で準備する以外にありません。中古住宅の場合はケースバイケースで金融機関からの融資が可能ですが、土地のみを購入する場合は原則全額自己資金です。

4.売買契約
売買契約の締結はいままで物件購入について十分に検討した結果を売主、買主双方が書面をもって約束を実行する行為です。物件のこと金銭的なことがすべてクリアーされてはれて決断されることなので、後には戻れません。田舎不動といえども生涯の買い物としては一番高価な買い物であることは間違いありません。(実際は最近の車の価格より安い土地の取引もあります)売買契約を行う場合一般的には2通りのやり方があります。1.売買契約の締結時に代金の支払いを1回で済ませ、同時に所有権の登記を行う。2.売買代金の1割程度を契約締結時に売主に支払い、後日残代金を支払い、同時に所有権の登記を行う。どちらも一長一短あり、買主、売主双方の事情を考慮しながらどちらにするかを決定します。買主、売主が遠方である場合、購入物件の土地の測量または形状変更が必要な場合、資金が1度に用意できない場合、購入物件に抵当権が設定されている場合など、1回ですべての取引を終わらせるやり方は少ない方です。ただし、すべての条件が整っている場合は売主、買主が会ってその場で代金の支払いと同時に所有権の移動(売主から買主に物理的、法的に権利の移動を行う手続き)を行う方が安全性の面から言えば一番良い方法と思います。
参考までに上記2の場合の実務上の流れをご説明いたします。
(1)売主、買主、仲介業者が1ヶ所に集合。(不動産仲介業者の事務所が一般的)
(2)買主に対して業者が重要事項説明書の説明を行う。(宅地建物取引業法第35条)
  ※宅地建物取引主任者証の提示が義務
(3)重要事項説明書のすべての説明を受け十分理解した後説明書に署名押印する。(認め印可)
  ※上記説明書に署名押印した後でなければ売買契約の締結はできません。通常重要事項説明書は3部作成し、売主、買主、仲介業者がそれぞれ保有します。
(4)売主、買主双方に売買契約書の記載事項を説明する。
(5)契約書の内容を十分理解したうえで書面に署名押印する。(認め印可)
(6)売買手付金の授受
買主はあらかじめ用意しておいた手付金(現金)を売主に支払う。売主は手付金相当額の領収書を買主に渡す。以上で売買締結の終了。上記が実務上の流れですが、売買契約締結までには@売買代金A手付金の額B売買代金以外の必要金額C残代金の支払い時期など重要事項説明書に記載する項目について事前に業者と売主、買主の間で決定しておく必要があります。必要金額につきましては別項「購入費用」でご説明いたします。通常売買契約書は1部作成し、買主が原本を売主、仲介業者はコピーを保有します。(印紙代の節約の為)

5.残金の決裁
前項の売買契約締結では手付金の支払いが終わっただけで、購入する不動産はまだ自分の物にはなっておりません。売買契約書に記載されている金額の全額を支払い終了した段階で法的、物理的に自分の物になります。買主は契約締結時に支払った手付金を売買代金の合計から差し引いた金額を売主に支払いますが、金額も契約締結時よりも多額になり、どんな書類や準備が必要なのかよくわからない方が多いと思います。不動産業者の我々も最終取引の決済には一番神経を使います。またこの決裁がスムーズに売主・買主双方に混乱が起きないようにするのが我々仲介業者の腕の見せ所です。
残代金を現金で用意する場合は例としては少ないので、一例として買主の銀行預金口座から売主の銀行預金口座へ残代金を支払う場合の一連の流れをご説明いたします。
(1)売主、買主、仲介業者、司法書士(法的手続きをする買主、売主の代理人)が指定銀行へ集合。
(2)法的に所有権が売主から買主へ移転することの必要書類がととのっているか、間違いないか立会いの司法書士が確認する。(買主、売主からの委任状に署名、押印)司法書士が問題ないことを確認した時に(3)へ。
(3)買主は自分の預金口座通帳から必要金額を引き落とし、同時に売主の銀行預金口座へ残代金を振り込みます。
(4)振込み金額が間違いなく売主の銀行預金口座通帳へ記載されたかどうかを確認します。
(5)売買代金が買主から売主へ支払いが終了。
(6)買主は司法書士へ報酬、登録免許税などを支払う。仲介業者へ仲介手数料を支払う。
(7)後日(6)が終了してから約1週間以内に「登記識別情報」の書類を司法書士から書き留めにて買主へ送られます。
※現在は法務局の登記情報はコンピュータ化されており、以前から存在する「登記済証」が名称、書式が「登記識別情報」に変更になりました。以前からお持ちの「登記済証」も現存するものは有効ですのでご心配無用です。

以上ですべての不動産の取引が終了します。ただし、現段階ではまだ法務局への所有権移転の申請が行われていないので、直ちに司法書士が法務局へ登記の申請を行います。登記の申請する地域にもよりますが、美瑛の場合、旭川法務局への申請後2,3日で登記が完了します。(登記が完了してはじめて法的に自分の所有物になります)
以上の一連の流れは仲介業者があらかじめ書面にて売主、買主にご説明します。当社の場合は買主、売主どちらかがが本州にお住まいで決裁に立ち会えないケースや協同仲介で仲介業者が2社になるケースなど、決裁ににおいては様々なことが想定されますが、信頼のある司法書士の先生の協力をいただきながら取引の臨んでおります。

土地の探し方
(1)自分で探す
あまり現実的ではありませんが、不可能ではありません。ただ農村部の田舎暮らし物件に限ると地域の農家の方と知り合いになるか、地域にお住まいの知人を介して情報を得るなどの方法が考えられます。まったく見ず知らずの人が農家に訪ねていっても不安がられるだけで、得るものは少ないと思います。農村地域に何度も何度も通って、よくある野菜の直売所で買い物をしたり農家の方と仲良くなるなど、時間と労力を惜しまないで頑張る強い精神力があれば少しは光は見えてくると思います。くれぐれも不振人物に見られないようにしましょう。
(2)業者に依頼する、インターネットの情報を利用する
急速に発展したインターネットを活用するのは今や当たり前になって来ましたが、北海道宅地建物取引業協会旭川支部加盟の不動産業者が主体となっている不動産検索サイトIRIが情報源としては有力です。他にもアットホーム、ハトマークなどの全国加盟の検索サイトがありますが地元不動産業者の加盟数が少なく現状ではIRIが地域密着型としては最有力と思います。不動産情報はどちらかというと小さいエリア情報が主体なので、美瑛、上富良野、東神楽、当麻、東川までが旭川圏内で、富良野、南富良野方面では旭川市からやや距離があって、旭川市内の業者の扱いは少なくなってきます。美瑛町内唯一の不動産業者の当社は田舎不動産に限ると約90パーセントが地元美瑛、上富良野、中富良野、東川の物件だけを扱っています。地域密着型でやっていますが、やはり田舎不動産の取引にはかなりの調査が必要で、近隣の調査や法的な制限の有無など一般の住宅地、商業地とは別の調査が多く、それだけ手間がかかります。特に法的な制限は無くても実体を調査すると、地盤の低さで水が溜まったり、埋め立て地だったり、近隣からの臭気、廃棄物処理場の建設予定地、・・・完璧な調査は出来ませんが”地元だから”の情報収集が可能な場合も多々あります。
不動産業者に直接依頼する場合は、1.おおよその希望地2.予算(大体500万、1000万円までとか)3.利用目的(セカンドハウス、ペンション、レストラン、カフェ、などの客商売)4.希望面積 5.小学校、中学校などに通う家族の有無 6.連絡手段(電話、FAX、メール)は最低限必要です。電子メールが一般的になってきましたが、当社ではリクエストにより画像の追加などで出来るだけ多くの情報提供を心がけております。ただしどんなに詳細な画像をご覧になったとしても、感覚として現地とは大きく異なる場合もあるので、気になる物件はなるべく早めに現地案内をお奨めしております。一般的には不動産に掘り出し物は無いと思ったほうが良いでしょう。物件が出るタイミングと購入希望者が感じるイメージがあった時には迷わず現地を訪問することが大事です。旅行のついで、夏休み、雪が融けて暖かくなったら、など遠方の方は確かに急いで北海道まで来ることは容易ではありませんが、金額の大小に限らず、”取り合えず現地を見る”ぐらいでないと中々田舎不動産の入手は困難だと思います。過去に当社でお世話させていただいた方に共通することは@常に情報収集に真剣さが見られるAこちらの対応に素早い反応があるB疑問は何度も聞いてくるC現地訪問に何度でも来る。物件数が極端に少ない地域では同じ物件は2つありません。急いで結論をだす必要はありませんが、気になる物件があったら貪欲に業者に質問することがお互いの信頼関係にもつながります。疑問に答えない不動産業者は信頼の無い業者と思ってあきらめた方が良いでしょう。

業者の選択
不動産業者は旭川支部所属会員が約350社ありますがいずれも北海道知事や国から宅地建物取引業の免許をいただいた業者です。中には田舎不動産を専門に取り扱っている業者も見受けられます。私もそうでしたが初めて不動産会社へ電話する場合はちょっと不安だったのを覚えています。電話の応対もぶっきらぼうで、慣れ慣れした友達感覚で話をする業者もおりました。田舎不動産に限っての説明になりますが、@聞いたことに対して的確に答えているか?。A約束を守っているか?。(調査報告の時間や待ち合わせの時間)B不明な点に対して調査する意思がかんじられるか?。C現地のインフラ事情を、生活環境をよく調査しているかDやたら結論を急いでいないかEとにかくなんでも大丈夫だからと言っていないか?。市街地の宅地分譲と違って田舎不動産は水道や下水道の未整備地域も多く、一見宅地に見えても家の建築が不可能な”農地”などもたくさん有ります。まずは物件資料の内容を理解したうえで現地案内に進みます。Dのやたら契約や手付金の受領などの結論を急がせたりする場合はちょっと心配です。良識ある業者であれば最初に先客があることは事前に知らせるのが普通です。人気物件で先客が既に交渉中の場合でも2番手、3番手のお客様は交渉の結果次第では自分に廻って来ることもあるので、気に入った物件でも焦らず順番を待つことも大切です。現在では無免許業者(ブローカー)も減って来ていますが、もぐりで不動産仲介を行っている悪質な人の話を聞くこともあります。決してブローカーなどとの取引にかかわることの無いように注意してましょう。

土地の価格
田舎不動産の土地の取引価格は取り扱う立地により大きな開きがあります。美瑛周辺の農村部での過去の取引例を見ると坪単価1000円未満の土地から10,000円ぐらいまでとかなりの差があります。農家跡地の宅地から水道も無い山林、原野など幅広いのも差が生じる原因です。美瑛町で開発造成した美馬牛団地内が坪単価25,000円前後200坪で500万円。一般的な美瑛市街地の宅地のような立地と異なり農村部の土地の価格の算出は1件、1件全部価格が異なるので、地元の当社として中々どのくらいの予算で土地を購入できるかは判断に迷うのが実情です。本州の方から見ると坪単価10000円はかなり魅力的で500坪でも500万円とは驚くほど安く感じますが、実際山林だと山林の種類にもよりますが坪単価は数百円から数千円ぐらいでは無いでしょうか?実際の取引では過去の取り引きが参考になることも多く、実勢価格は500坪で50万円の山林も取引価格では500万円になってしまうケースも実際にはあります。また広さの単位も農村部の宅地以外は1反(300坪)2反(600坪)の感覚が普通なので、100坪、200坪などの縮小面積での取引は稀です。結論から言えば美瑛、上富良野地域の人気のある場所においては地元の地主が、同じく地元の知人や親戚に売買する価格と本州はじめ全国各地から移住して来る方に売買する金額には大きな差があることだけは間違いありません。地場相場よりかなりの高額で購入する移住者もそれでも安いと感じながら北海道の土地を満足して購入しているので大きなトラブルが生じていないのです。当社も農村部にある田舎不動産の価格が時々”こんなに価格が高いはず無いのになあー?本州の人は買っちゃうんだよなー”などと疑問を抱きながら取引をする場合もあります。
山林、原野の場合よくあるケースですが、売買金額がかなり安い場合でも敷地形状が斜面や奥地の時は土地購入費用の他に敷地を平らにする造成費用や樹木の伐採費用、敷地までの通路造成費用がかかります。水道を近くの道路から敷地内まで埋設する費用も予算に入れる必要があります。当社では土地の価格はあくまで所有者である売主と相談して決定していますが、元々の地元の住人が売主である場合は安く購入できますが、一旦地元以外の方が購入してそれを転売するケースでは割高な金額になるケースが多いようです。
※全国からおよその購入できる金額の問い合わせをいただく場合がありますが、金額は10件あれば10件とも異なり、安易にお答えできないことをご理解いただきたいと思います。
参考までに美瑛市街地の上下水道完備している宅地の価格は地域によりますが坪単価30,000円から60、000円、商業地域で50,000円から100,000円

4つの確認
1、上水道、2、電気、3、道路、4、除雪。農村部の不動産を購入する上では特に注意をする項目です。
1.
上水道 美瑛町内は全域上水道がある地域ばかりでなく、地下水(井戸)、湧き水などを利用している地域もかなりあります。生活に欠かせないだけに不動産調査の場合に最初に調査します。上水道が無い場合は地下水や湧き水の利用が可能かどうか?個人での掘削なのか?地域で管理している地下水の利用が可能なのかを調べます。上水道以外は町で管理していないので地域の区長さんや近所の方に確認します。利用費用や維持管理費用なども重要になるので取引前に詳細に調査をします。個人で井戸の掘削する場合も掘削をする業者と事前におおよその金額や掘削が可能かどうかの聞き取りなどをします。地域の周辺で飲み水ととして長年地下水を利用している場合は参考になります。上水道が近くの公道に埋設している場合でも敷地までの距離が長い場合があります。距離や水圧、利用形態(個人住宅か宿泊業などの営業に利用するのかなど)、道路横断、傾斜などに応じて水道埋設管工事費用がかかり、調査にも時間がかかります。特に営業目的の水道利用では周辺地域への水圧の変化の有無などの調査も大切です。気に入った土地を見る際に同時に水の状況を業者に聞いてみましょう。
2.
電気は北海道電力が管理していますが、敷地近くに電柱があるか?無い場合は電柱が建てられるか?費用はかかるか?水道ほど心配は要らないと思いますが電気も水も不要というサバイバル生活希望のお客様以外は電気の確保は基本ですね。
3.
道路の状況は田舎物件や町の物件に限らず大事な要素ですが、とりわけ田舎物件は時々複雑な場合も見受けられるので調査は念入りに行う必要があります。道路と言っても建築基準法の道路や道路法による道路など様々な定義があります。やや専門的になりますが、農村部にはあてはまることが少ないのですが、都市計画区域に指定されている区域内は家を建築する際に”建築基準法”という法的な制約が生じます。その中に敷地は”道路に2メートル以上接していなければならない”という規制があります。建築基準法適用除外区域は特に問題がありませんが、現実的に敷地が道路に面していなければ出入りが出来ないという問題が生じる為、法律うんぬんよりもまず敷地への進入経路の確保は大切です。まれに道路に接していない土地や他人の敷地を通らなければ自分の敷地に入れないケースがありましたが、その場合は通る土地の所有者に通行承諾書を書いていただいて、後々の問題が生じないようにしました。よほど特別な場合を除いて他人の土地を通行したり、道路に接していない敷地は見合わせたほうが無難な気がします。
※敷地が道路(公道)に接していないと、水道や排水の問題の他に銀行融資が受けられない場合もあります。
農村地域に住む農家の中には道路から家の敷地までの距離が数十メートルにもなることもよくあります。昔から住んでいる農家にとっては問題にならなくても農家で無い移住者がそのような土地を購入した場合は冬季の除雪が問題になります。冬には住まない別荘としての利用では問題がありませんが10メートルの距離でも除雪は大変な作業です。そのようなケースでも移住者の中には元気な人もおり、小型の除雪機を購入して真冬の大雪でも平気で頑張っている人もおります。(人生いろいろ、様々な人がいて楽しいですね)

4.
除雪は北海道では切っても切れない縁です。町中に住んでいる今では農村地域に住んでいた頃から比べたら大分楽になりましたが、大雪の時は朝から汗だくになって雪と格闘していました。近所ではエンジン付きの除雪機を利用している人も多くなりました。農村部で田舎暮らしで特に広い敷地で暮らしている方はほとんどが除雪機やご近所に除雪をお願いしているようです。農家ではトラクターが除雪に使えるようにするので冬でもトラクターは必需品です。

取引の形態
不動産取引は宅地建物取引業という法律に基づいて取引を行うので、すべての不動産業者は法律に従って物事をする必要があります。すべての詳細はここでは説明出来ませんが、知っていた方が良いと思う「取引の形態」に限ってご説明します。「取引の形態」は物件案内書はもちろん、現地案内する場合も始めにお客様に説明する大事な項目です。大きく分けると1.媒介(一般媒介、専任媒介、専属専任媒介)2.売主 3.代理の3種類です。

1.媒介(一般媒介、専任媒介、専属専任媒介)とは不動産物件の取引において、売主と買主の仲に入って仲介をすることで、仲介手数料(別項の購入費用で説明)が発生します。不動産会社にとっての収入で、いわゆる成功報酬です。通常は売買契約締結時に半額、残金決裁時に半額を仲介業者に支払います。自分の不動産の売却をA不動産会社に依頼した場合で、購入するお客様もA不動産会社に依頼したときは、売却を依頼したお客様と購入を依頼したお客様双方がA不動産会社に仲介手数料を支払います。また同じ不動産でも購入希望のお客様がB不動産会社に購入を依頼する場合がありますがその場合は売却を依頼したお客様はA不動産会社に、購入を依頼した客様がB不動産会社にそれぞれ仲介手数料を支払います。業界では協同仲介と言います。
2.売主
 
一般的に新築の建売住宅などを販売する不動産会社はほとんどの場合、取引形態は「売主」となり、購入するお客様は仲介手数料の支払いは有りません。売却する建物の価格に販売業者の利益が含まれている為です。中古住宅や田舎不動産でもよく取引形態に「売主」の文字を見ることがありますが、購入するお客様は仲介手数料の支払いはありません。不動産業者が一旦不動産を買い取り、利益を上乗せして販売する為、建売業者と同じような販売形式になるからです。実際、田舎不動産は売却価格が安い為に不動産業者の報酬となる仲介手数料も比例して少なくなり、一旦不動産業者が買い取って利益を上乗せして売却した方が業者の利益が大きいからです。購入する側から見れば仲介手数料の支払いが無い為、一見得したような気持ちになります。特に注意する点としては取引形態が「売主」となっている場合でも実際の所有者(法務局に備えられている登記簿謄本の名義人)が販売を取り扱う不動産会社の名義になっていないケースがあることです。色々なケースが考えられるの一概になんとも言えませんが、その場合は不動産会社に内容を詳しく聞いた方が良いと思います。
3.代理 田舎不動産ではあまりないようですね。一般的には大手販売会社からの販売代理や新築物件の分譲などでのケースが多く、この場合は通常手数料は支払いません。ので内容は省略します。
セカンドハウス
美瑛で暮らしている方の中には北海道の厳しい冬を避け、過ごしやすい「夏」「秋」に限って暮らす「セカンドライフ」を楽しんでいる方も多くいます。どちらかと言えば理想的な住み方ですが、ある程度暮らしに余裕のある方に限られています。これからセカンドハウスとしての暮らしを検討されている方への注意事項を簡単にご説明します。
1.
管理  中古物件、新築物件に限らず建物の維持管理は重要です。屋根の除雪、合併浄化槽、冬季の凍結対策、防犯、敷地内の庭木、雑草管理など、特に農村地域のあまり周囲の目の届かない所に住む場合は注意が必要です。周囲が農家の場合は特に雑草の除草は重要で、敷地が広い場合は「自分の土地だから」などと雑草が伸び放題では周囲が迷惑します。古い家では屋根の雪下ろしも状況を見ながら誰かに依頼しないと家が傷んでしまいます。近所の農家や地元業者に依頼するなど、あらかじめ暮らし始める前に雪対策を考えておく必要があります。またセカンドハウスの場合は利用の頻度にもよりますが、不動産購入の時の立地条件の選択幅が広い利点もいくつかあります。たとえば冬の利用が少ない場合は@公道からの距離が遠いA傾斜がある土地B民家から遠い不便な土地、など定住者と比較した時より少しは物件選びをする場合の選択幅が広がると思います。
2.
地域との関係 セカンドハウスの別荘住まいと定住者の暮らしでは農村地域においては地域との関わり方も異なります。美瑛に限って言えば毎月の町内会費や行政区費などの負担も無いようです。(すべての地域ではない)地域の行事参加もあまりなく、どちらかというと地域との関係が薄くなりがちです。ただし建物がある限りは地域との繋がりをまったく絶つことは出来ないので、セカンドハウス住まいと言えども町内会長や近隣への挨拶を忘れてはいけません。

街の暮らし
美瑛に移住される方やセカンドハウス住まいをされている方は、皆が街から離れた農村地域で暮らしている人ばかりとは限りません。JR駅に近い住宅地や駅から車で5分程度の比較的便利な地域で暮らしている方も多くおります。郊外の景色の良い高台は確かに環境は良いと思いますが考え方は人それぞれで、郊外よりも普段の便利な生活や車が無くても心配の少ない街を選択するのも良いのではないでしょうか。街でのセカンドハウス暮らしは防犯や買い物、交通などの便利さなどで人気があります。郊外に比べて中古物件の数も多く、比較的安価で手に入れることが可能です。土地の価格も街中でも坪当り40,000円〜60,000円で購入でき、土地100坪で500万円、30坪の新築を1500万円と仮定すると土地建物合わせても2000万円で新築の家を持つことが可能になります。景色の良い丘の風景や大雪の山並みを眺めるにも車で5分、10分も走ればすぐに行くことが可能です。防犯上もそれほど心配は要らないでしょう。丘の景色や大雪連峰の景色も魅力ですが、現状では中々立地の良い物件に出会うこともますます難しくなってきています。街から少しだけ離れた住宅地での生活も割りといいもんですよ。

土地の広さ
田舎暮らしを希望される方の多くは300坪、500坪、中には1000坪以上などと家庭菜園の域を超える広さを求めたがる方もおります。畑を1反(300坪)や2反(600坪)を耕作するには作物にもよりますが、最低でも小さな耕運機がないと出来ないと思います。ある程度農業の経験がある場合を除いては趣味程度の家庭菜園は2、30坪もあれば十分でしょう。北海道の土地は本州よりもはるかに安く購入できるので、広い土地を手に入れることはそう難しく有りませんが、200坪、300坪の畑を平日に仕事をしながら作物を作るのは大変なことです。毎日が自由人の方は別ですが、一般的に宅地部分と家庭菜園部分を含めても300坪程の土地があれば十分ゆったりした生活ができると思います。ただ農村地域では離農跡地でも宅地部分全体は300坪や500坪とかなり広いので、少ない面積を選んで購入することができません。でその土地を移住者が購入して住み始めるとあまりの広さに手を余し、自分では手入れの出来ない荒地や雑草だらけの土地になってしまうのです。住宅地であれ、農村部であれ、庭や周囲が雑草だらけではご近所から迷惑がられること間違いありません。私の経験上、適切な土地の広さはとは十分手入れの出来る必要最低限の面積が適切な広さだと思っています。ペンションやレストランなどの開業を目指している方は駐車場や理想のガーデンニングの広さも考えにあると思いますが、あまりにも広い場合は広葉樹などの樹木を植えたり、木のチップを入れて雑草を抑えたり普段の手入れを少なくする方法の検討も必要でしょう。

購入費用
土地や建物(中古住宅)を取引の形態「媒介」で購入する場合の最低必要金額のご説明です。
1.売買代金
2.契約印紙代
3.仲介手数料
4.登記料
5.固定資産税精算金
6.不動産取得税

1.売買代金 
通常の取引では全額一括で売買代金を契約時に支払い、同時に法務局へ所有権移転の登記を行う場合と売買契約時に手付金として売買代金の1割〜2割程度を支払い、後日(契約締結後1ヶ月以内)に残代金を支払い所有権移転の登記をおこなう2通りの方法があります。買主、売主双方の都合を調整したうえでどちらにするか決めています。支払う代金は現金または銀行振り込みが一般的です。本州各地の移住希望者から農村地域の購入物件の資金手当てとして銀行融資の相談を受ける場合がありますが、中古住宅物件を除いて土地の購入で銀行融資が可能になったケースは今まで当社ではありません。理由として@不動産に融資するだけの担保価値が無いA住んでいる住所(住民票)と不動産が所在地が離れているなどですが、融資不可の最大の原因は@です。市街地の住宅地であれば土地の不動産評価額が融資の際の参考になりますが、農村地域の土地(宅地、山林、原野含む)の不動産評価額は融資の際の参考にならない程低いのが原因です。不動産評価額と取引における売買契約額との差が大きすぎると言うことでしょう。従いまして購入希望者の資金調達手段は土地の取得に措いては自己資金や親などからの援助していただく資金となります。中古住宅や新築住宅などの建築資金などは銀行融資や民間銀行と住宅金融支援機構が締結したフラット35などの融資利用が可能です。
2.契約印紙代
売買契約書に貼付する印紙税(国税で収入印紙)のことで、売買契約書に契約代金の額に応じて貼ります。最近では売買契約書は1通のみ作成するので印紙代の負担は買主、売主双方が折半します。売買契約書の原本を買主が売主、仲介業者はコピーのみいただきます。法律では売買契約書の数だけ印紙税を納めることになっており、最近では契約書は1通のみ作成するのが一般的になってきました。
契約書記載金額 契約書に貼付する印紙税額
50万円超100万円以下 1千円
100万円超500万円以下 2千円
500万円超1000万円以下 1万円
1000万円超5000万円以下 1万5千円
5000万円超1億円以下 4万5千円
3.仲介手数料
(1)
不動産取引形態の「媒介」のとき購入や売却を依頼した不動産業者に支払います。仲介手数料の上限額は国土交通相告示により報酬規定が細かく決められております。不動産会社には必ず報酬規定の内容を事務所内に提示することも宅地建物取引業に定められております。
物件価格の3%プラス6万円が宅建業法で定める上限であり、一般的に言われる正規の仲介手数料です。また、仲介手数料には消費税等が課税されます。
不動産業者はこの上限を超えた金額を請求してはいけません。
また、3%プラス6万円という計算方法は「速算法」とよばれる簡易計算ですが、正式には物件の価格を3分割して計算します。
ちなみに、4000万円の物件を買う場合に支払う仲介手数料を、4000万円×3%+6万円の数式にあてはめて計算すると、126万円(税別)になります。

          不動産の売買時における仲介手数料について

      
  国土交通省告示第1552項・宅地建物取引業法第46条第1項より
正式計算方は次の通りになります。
200万円以下の部分 5パーセント
200万超400万円以下の部分 4パーセント
400万円を超える部分 3パーセント
上記を合計した金額が」上減額
上記表をもとに不動産売買金額が1800万円の例で計算してみます
200万円以下の部分 200万円×5%=10万円
1800万円
200万円×5% 200万円×4% 1400万円×3%
200万超400万円以下の部分 200万円×4%=8万円
400万円を超える部分 1400万円×3%=42万円
上記合計金額 60万円
簡易計算方式では
1800万円×3%+6万円=60万円となり上記表の計算と同じになります。(別途消費税有り)
(2)仲介手数料はいつ支払う?
不動産売買契約締結時に手数料の半額を、残金支払い時に半額を支払うケースが多いようですが、残金支払い時に手数料全額を支払うケースもあり、特別な規定はありません。当社の場合でもそれぞれのケースでお客様と相談しながら支払い時期を決めております。
4.登記料(登録免許税+司法書士報酬)
買主から売主へ売買代金が支払われると同時に該当不動産物件(土地、建物など)が買主の物になりますが、不動産という性格上直接手渡しで買主に引き渡すことは不可能です。不動産の場合は法務局に備えられている台帳に該当不動産が自己の所有であることを証明する為の手続きをし、その手続きが完了して台帳に記載された後にはじめて自己所有の不動産物件であることを主張できるのです。売主から買主への法的な移転手続きのことを所有権移転の登記と呼んでおります。これらの手続きを買主に代わって行うのが司法書士の仕事です。所有権移転登記には登録免許税という税金(国税)がかかりますが、税金の額は不動産の金額による税率で決められております。ただし不動産の金額は売買契約の際の金額ではなく、固定資産税評価額(市町村役場に備えられている)が基準になります。以上の登録免許税の他に買主の代理人として手続きをする司法書士報酬が別途かかります。司法書士報酬についてもそれぞれ基準がありますが、仲介手数料のような法的な制約はありません。
(登録免許税の計算方法)
  不動産の価格(固定資産税評価)×税率=税額
<土地の所有権移転登記等の軽減税率> 土地売買の税率表
平成21年4月1日
~平成22年3月31日
平成22年4月1日
~平成23年3月31日
平成23年4月1日
~平成24年3月31日
平成24年4月1日
~平成25年3月31日
土地の売買による
所有権移転登記
1% 1% 1.3% 1.5%
※登記料を計算する上で一番気になるのはその土地の固定資産税評価額ですが、田舎不動産と呼ばれる農村地域の例を見ると、宅地、原野、山林なにより差はありますが、固定資産税評価額はおどろく安いのが実態です。

例1)売買代金  600万円 土地面積 600坪 固定資産税評価額 90,000円
    90,000円×1%=900円(登録免許税)
    司法書士報酬  =29,600円
    登記料合計   =30,500円
※不動産金額はすべて金額が異なるので正確な登録免許税の算出はできませんが、美瑛町の農村地域(都市計画区域外で下水道の未整備地域)の場合、過去の取引例では固定資産評価額(土地のみ)が500,000円を超えた例は少なかったように思います。従って登記料の一部の登録免許税額は5,000円未満でそれ程心配になる金額では無いと思います。
※司法書士報酬額は取り扱う登記の種類、(移転登記、保存登記など)や不動産の価格(課税標準額)、取引の土地の数(筆数)により算出されますが、基本報酬、手続き報酬などが司法書士事務所により若干異なるようです。
そもそも農村地域では報酬基準になる課税標準額が市街地の住宅地とは比較にならないくらい安いので過去の例を見ると登記料(登録免許税+司法書士報酬)合計額は3万円〜8万円以内で納まるようです。
※中古住宅取引の場合、土地と建物それぞれに登録免許税がかかりますが、建物の場合建築年数、面積、居住用か否かなどにより税率が決まります。
ケースによりますが軽減措置が適用される場合は所有権移転登記で0.3パーセントの税率で収まります。
(5)固定資産税精算金
不動産(土地、建物)を取得すると固定資産税納付書(地方税)が毎年役場から送られてきます。毎年1月1日時点の所有者に届きます。不動産取引では売買代金の授受が行われた日に所有権の移転が行われたと日と決めており、その日を含めて12月31日までの日数を計算したうえで固定資産税額の日割りの精算を行います。不動産を売却する売主の元にはすでに1年分の固定資産税納付書が届いており、納付義務が生じていますので新しい所有者になった買主は所有した日から残りの12月31日までの日数分を計算して売主に支払います。
例)5月16日に売買代金の授受がすべて完了し、同時に所有権移転の登記手続きをしました。
  取引が行われた不動産の固定資産税額の合計は45,000円でした。(納付書に記載された金額)
  @5月16日から12月31日までの日数は230日ありますので。

  
A45,000円×230÷365=28,356円=28,300円
 
 B買主は28,300円を売主に支払います。
(6)不動産取得税
前記(1)〜(5)までは不動産仲介における一連の取引で必要な金額で、あらかじめ購入資金として準備しておく必要がある金銭ですが、不動産取得税は売買の取引が終了した後に都道府県が課税する税金です。この場合取得とは
登記が行われた否かは関係がありません。美瑛や旭川市の不動産売買では取引終了後2、3ヵ月後に上川総合振興局より納付書が届きます。
不動産取得税額の計算方法は次のとおりです。
  不動産の価格(固定資産税評価額)×税率=税額
住宅関係 土地 3% 平成24年3月31日まで
建物 3%       〃
住宅以外
(店舗、事務所等)
土地 3%
建物 4% ーーーーーー
※住宅および宅地については軽減措置もあり、ここで正確な算出方法の記載は省略させていただきます。尚、軽減税率が適用されるか否かは該当不動産が新築、中古、面積、居住用か別荘かなど範囲が広いので、不動産取引が行われる前の段階でご相談させていただいております。